LCA 事例
日本でのLCA成功事例
ライフサイクルアセスメントが日本でどのように活用され、どのような事例があるのかを紹介します。
日本ハム株式会社の事例
はじめに紹介する事例は、大手食品メーカーの日本ハム株式会社の取り組み事例です。日本ハムでは、材料を作る段階の「原材料調達」から「生産」「流通」「使用・維持管理」そして「廃棄・リサイクル」の5段階すべての環境負荷を計算し、評価を行いました。
その結果、日本ハムグループ操業範囲での二酸化炭素排出量は比較的小さく、5段階のうち「原材料調達」が最も二酸化炭素の排出規模が大きいことが分かりました。
これからの結果からニッポンハムグループとして削減に取り組むべき対象は何か、分析を行いました。そして、二酸化炭素の排出規模と管理のしやすさから、排出規模は小さいがグループとして関与できる点が大きい包装材料や段ボールを先行項目として取り組みを始めました。
日本ハムはこれらの取り組みの他に、ライフサイクルアセスメントを利用した「カーボンフットプリント(炭素の足跡)」も行っています。「森の薫り」シリーズのソーセージやハム、ベーコンにおいてカーボンフットプリント・マークの表示を行い、食品というお客様に近い分野でいち早くカーボンフットプリントの啓蒙活動を行っています。
マツダ株式会社の事例
自動車メーカーのマツダでは、ライフサイクルにおける環境負荷低減の機会を特定する手段として2009年から取り組みを始め、積極的に活動を行っています。マツダで行われているライフサイクルの段階は、「製造」から「自動車の使用」そして「廃棄・リサイクル」です。それぞれの段階で環境負荷低減に向けた活動を行なっており、環境負荷を低減した車の開発・導入推進も行っています。
マツダでのLCA取り組み実績として、「内燃機構自動車と電気自動車の二酸化炭素排出量の評価」という研究があります。これは、世界5地域における内燃機構自動車と電気自動車のライフサイクルでの二酸化炭素排出量を評価したものです。この研究により、地域ごとの電力の状況や燃費、走行距離によって、内燃機構自動車と電気自動車のライフサイクルでの二酸化炭素排出量の優位性に変化があることがわまりました。
マツダでは、これらの研究やライフサイクルアセスメントの分析からマルチソリューションでの技術開発を進めています。
参考文献
日本ハム株式会社HP
https://www.nipponham.co.jp/csr/environment/climate/lca.html
マツダ株式会社 HP
https://www.mazda.com/ja/csr/environment/lca/
演習で学ぶLCA ーライフサイクル思考から、LCAの実務までー 稲葉敦 2014年 株式会社シーエーティ