このページでは、J-クレジット制度とはいったいどんなものなのか、どのようなコンセプトの下でこの制度が運営されているのか、について理解を深めることを目的としています。
J-クレジット制度とは、CO2などの温室効果ガスの排出削減量や吸収量を、国が「クレジット」として認証することで、経済活動での活用を可能にした制度です。省エネルギー機器の導入などによって排出削減された、もしくは森林などに吸収された温室効果ガスは、クレジットとして売買されます。このような事業を実施する個人や組織は誰でも、J-クレジットの創出者になることができます。J-クレジットは、環境目標を達成することなどを目的に、おもに企業が購入します。これにより、環境配慮と経済的な効果を同時に実現します。
プロジェクト実施者である中小企業や自治体が、太陽光発電の設置や省エネ機器を導入した場合に、更新前と比較して温室効果ガス排出量がどれだけ削減できたか、仮想の削減分を実際にカウントして、国がそれをJクレジットとして認証する流れです。
「プロジェクト実施後排出量」ー「ベースライン排出量」 =排出削減量
この排出削減量がJ-クレジットとして認証されます。
※ベースライン排出量とは、仮にプロジェクトを実施しなかった場合に想定されるCO2排出量のこと。
温室効果ガスを削減する技術や方法ごとに、排出削減の算定方法や計測方法が規定されています(方法論)。
方法論は大きく、経済産業省の分類によると以下の6つに分類されますが、なかでもよく使われているものを3つ紹介します。
①省エネルギー等分野 ー 省エネ設備の導入
もともと使用していた設備と比べ、よりエネルギー効率のよい設備を導入することで、化石燃料の使用を抑え、エネルギー由来のCO2を削減する取り組み。
対象:ボイラー、ヒートポンプ、空調設備、照明設備などの導入や更新
②再生可能エネルギー分野 ー 再生可能エネルギーの導入
化石燃料を再生可能エネルギーに代替することにより、エネルギー由来のCO2を削減する取り組み。
対象:太陽光発電、バイオマス燃料の活用など
J-クレジットの売買には、①仲介業者を介した売買、②「売り出しクレジット一覧」に掲載/購入、③J-クレジット制度事務局が実施する入札販売に参加、といった3つの方法があります。価格は、①②の場合、仲介業者もしくはクレジット保有者と当事者同士で取り決める、相対取引で決められます。③の入札販売は毎年2回ほど行われており、再生可能エネルギー発電起源のJ-クレジットは、1トンCO2あたり平均2000円前後で落札されています。
J-クレジットの活用方法としては、環境に関する法律や達成目標のための活用と、企業戦略としての活用があります。
第1に、CO2の大幅削減に向け、様々な法律や達成目標が整備されています。例えば温対法や省エネ法では、温室効果ガスを相当程度多く排出する者(特定排出者)に、自らの温室効果ガスの排出量や省エネ事業について、毎年国に報告することが義務付けられています。そこで、基準値に満たない場合は、J-クレジットを購入することで不足分を賄うことができます(カーボン・オフセット)。
第2に、企業戦略としてカーボン・オフセットを行うことで、環境への貢献をPRしたり、企業のCSR活動(環境・地域貢献)、製品・商品・サービスのブランディングのために活用できます。取組事例は、J-クレジット制度HPの「イベント掲示板」や、「カーボン・オフセット宣言」等でPRすることもできます。