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~株式会社アサギリ インタビュー~

 このページでは、バイオ炭を活用している事例を紹介します。実際に、バイオ炭を活用したたい肥づくりを行っている株式会社アサギリさんを訪問し、インタビューを行いました。

▼インタビューを行った方▼



インタビュー動画はこちらから!


株式会社アサギリ代表取締役 簑 威賴さん

産業廃棄物を肥料やたい肥に活用するという形で環境循環型社会を実現させています。今回新たに、南部町バイオマスエナジーより生産される木質由来のバイオ炭を混合してたい肥や肥料に活用するという取り組みをされています。

なぜ木質由来のバイオ炭を活用しようと思ったのか、きっかけについて教えてください。

 南部町バイオマスエナジーの竹下さんが静岡県の畜産試験場の研究員のところに相談を行ったのがスタートになります。この研究員の方がこの朝霧地域の約3分の1を肥料化してる弊社のところに、「たい肥のことだったら、アサギリに相談に行った方がいいよ」といった形の指導のもと、南部町さんの竹下さんが我々の会社に来られました。

 話を聞いたときに肥料の性能としても、リサイクルの部分のPRとしても効果があるってことが期待できたので、今回プロジェクトに参加することとなりました。

▼アサギリ周辺のバイオ炭の循環

資料 南部町バイオマスエナジー

木質由来のバイオ炭を活用したたい肥作りの方法について教えていただけますか。

 はい。現時点では(バイオ炭を使ったたい肥作りについては)複数のやり方を試しています。まず一つは、初めの原料の段階でバイオ炭を混合して調整するやり方です。 それともう一つが、できあがったたい肥の中に調整しながらバイオ炭を入れて含有量を調整するというやり方です。

▼袋詰めの様子

▼積み上げられているたい肥

▼これから出荷される製品

木質由来のバイオ炭を活用したたい肥作りによって、得られる効果についても教えていただけますか。

 一つは、バイオ炭が多孔質な炭ということがあるので、「土壌改良効果」がかなり期待されます。もう一つが、よく肥料の成分でCN比という形で重要視される炭素(C)と窒素(N)の割合において、炭素の部分が多く含まれているということは肥料の効能としても十分効果があります。

 また、一般的に牛には炭を食べさせて病原を排出するという効果を用いている飼料があります。今回バイオ炭も同じように整腸作用という形で、バイオ炭を用いて牛の雑菌・病原菌を排出させる飼料としての効果が今後期待できると、酪農さんと話しております。

▼富士山を横目に保存されている木質バイオ炭

これからバイオ炭を活用しようと考えている酪農家さんの方へのメッセージをお願いします。

 バイオ炭単体ですべてのたい肥の臭い、牛舎の臭いがなくなるってことは考えられませんが、それを用いることで良質な肥料が製造できる製造方法が確立できてくるんじゃないかなと思っています。もう一つは、バイオ炭を用いるということは、その地域でできた間伐材を使うという部分もあります。

 ですから酪農家の皆さんは、バイオ炭を用いるといった形の部分が自分たちではなく、それでできた肥料が使う農家さん、またそれを使ったことによりできた作物を購入される消費者の人たちといった部分が繋がってくるんじゃないかな。やはり無理をしたリサイクルはなかなか難しいと思いますので、誰もが無理をしない、持続可能な社会作りといった形を実現する第一歩が、このバイオ炭でできるのかなと思っております。大企業が出るカーボンオフセット、CO2削減といった部分はありますけども、そういった大きな話ではなく、このバイオ炭を使うことで、中小企業や小規模事業者が、実現できる社会貢献、カーボンオフセットの一つじゃないかなと思っております。

インタビューを終えての学生の感想

 畜産業は、実は牛のげっぷなどによるCO2排出が多いという事実があります。今回の取組み事例から、飼料としてバイオ炭を与え、排出される牛糞にさらにバイオ炭を混ぜてたい肥として活用することで、CO2をマイナスにするという酪農家さんの現実的な活用法が見えたのではないかなと思っています。環境的な面でいうとマイナスなイメージをもつ場合のある畜産業ですが、環境にプラスになる活動をすることでPRにも繋がると感じました。

 蓑さんがおっしゃっていたように誰もが無理することなく少しでもできることを増やしていくことが、カーボンをマイナスにする第一歩になると思いました!

(※撮影時のみマスクを外しております)