クレジット情報
お話を伺った方
学校法人立命館 財務部部長/総合企画部部長(起業・事業化推進担当)
酒井 克也さん
―背景について教えてください。
立命館学園は、立命館憲章において、「人類の未来を切り拓くため、学問研究の自由に基づき普遍的な価値の創造と人類的諸課題の解明」に向けて邁進することを宣言しています。人間を取り巻く環境の維持、新たな循環システムの構築は、まさに私たちが志す「人類の未来を切り拓く」取り組みに他ならないと考えています。
2010年2月には立命館地球環境委員会を発足させ、学園全体が一丸となり、教育・研究を通じて持続・循環可能な地球環境の「未来をつくる」ことを表明しています。
また、2021年9月には「2030年 カーボンニュートラル・キャンパスの実現」を目指すことを決定しました。昨今、環境問題や環境負荷軽減への社会的関心は一層高まりをみせており、大学に対しても、技術革新の基盤となる科学的知見の創出や普及、地域と連携した取り組み、グローバルな連携など、カーボンニュートラル達成に向けた大きな期待が寄せられつつあります。立命館は、こうした社会動向を踏まえるとともに、 これまでの環境負荷軽減や SDGsへの取り組みをさらに高度化・進展させ、社会的貢献、社会共生価値のさらなる創出を図るべく、カーボンニュートラル・キャンパスの実現をめざしています。今回、J-クレジットを購入したことも、2030年のカーボンニュートラル・キャンパス実現に向けた取り組みの一環です。
〈参考〉2030年 カーボンニュートラル・キャンパス実現へ
―今回バイオ炭を活用したJ-クレジットを購入した理由について教えてください。
今回、バイオ炭を活用したJ-クレジットを購入した理由は大きく分けて2点あります。
1点目は背景でも説明したとおり、立命館は2030年のカーボンニュートラル・キャンパス実現を目指しているからです。具体的には、下の図のように①既存施設の省エネ改修や、②学園内での太陽光発電、③再エネ電力の購入等を行ないカーボンニュートラルを達成しようと考えています。
今回のJ-クレジット購入は、③省エネ電力の購入等に含まれており、立命館学園内のみの努力では減らせないCO2削減をJ-クレジット購入等で補おうと考えています。
2点目は、学内の教育・研究の社会実装や地域創生に寄与できると考えたためです。研究活動では、脱炭素分野の「炭素除去」に資する有効な方法として、2019 年改良版のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)ガイドラインにおいて認められ、 2020 年 9 月に J-クレジットにおけるクレジット化の対象となった「バイオ炭の農地施用」による炭素貯留について、積極的に研究を進めています。 同研究活動は、農林水産省からの受託研究にも共同採択され、当研究のアウトリーチ活動である立命館大学カーボンマイナスプロジェクトは大阪・関西万博の共創チャレンジプログラムとして活動するなど、積極的な社会実装を進めています 。
今回、一般社団法人日本クルベジ協会の農地施用プログラム「バイオ炭の農地施用による CO₂削減事業」により初めてバイオ炭による炭素貯留の J-クレジットが承認及び発売されたことを受け、購入に至りました。
また、地域創生という点では、立命館学園の立地や学生の特性の観点からも同研究に共感しています。立命館は、北海道、滋賀、京都、大阪、大分にキャンパスを有し全国から学生が集まっています。卒業後は、出身地域に戻り活躍する学生も多く、学園としても地域連携に今後も力を入れていきたいと考えています。同研究は、地域循環のエコシステムを形成しようとしており、先生たちの研究を応援することで、地域循環モデルが広がっていくのではないかと考えています。
―今後の取り組みについて教えてください。
今後も、2030年のカーボンニュートラル・キャンパス実現に向けた取り組みを進めていきます。 J-クレジット購入も、継続的に続けて
いきたいと考えていますが、学園内で省エネや太陽光を活用するなどCO2の排出量そのものを減らす方法も模索していくつもりです。
バイオ炭の農地施用による炭素貯留に関する研究が、エコシステムの形成を通して分野横断的に波及していくことを願っています。
連絡先
財務部管財課 TEL 075-813-8168